硫黄泉を満喫 咲花温泉「柳水園」

 新潟で硫黄泉といえば、全国屈指の硫黄分を誇る月岡温泉や多宝温泉が思い浮かびますが、咲花温泉も忘れることはできません。
 先日、硫黄泉が恋しくなり、仕事帰りに、しばらくぶりに咲花温泉に浸かってきました。
 咲花温泉は2017年7月に、「碧水荘」と「一水荘」に続けて宿泊して以来ご無沙汰してしまい、3年ぶりになります。
 咲花温泉に数ある旅館の中で、今回立ち寄り湯したのは「柳水園」です。ここを利用するのも随分と久しぶりになります。

 実は、私が運営している掲示板に「柳水園」の話題提供をいただき、素晴らしい源泉が思い浮かび、行かねばという衝動にかられました。
 そんな折、私の職場の温泉好きの方から、新型コロナ対策の割引キャンペーンを利用して「柳水園」に泊まってきて、設備や食事は別にして、温泉は素晴らしかったという話を聞き、もう我慢ができなくなり、その日の夜に、仕事帰りに行ってきた次第です。

 国道49号線から馬下橋を渡って左折して直進。咲花温泉街に入ってすぐに、右手の坂道に「柳水園」の看板が出ています。

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 この細い坂道を登ったところに「柳水園」があります。玄関前は広い広場になっていて駐車スペースは十分です。

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 9月も半ばとなり、日没が随分と早くなり、着いた時には日も暮れて薄暗くなっていました。明かりのともった玄関に向かいます。

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 玄関のガラス戸には、入浴時間は当分の間、午前9:00から午後8:30とするとの掲示がありました。

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 スリッパに履き替えて入館しましたが、人の気配はありません。中を見回しますと、雑然とした玄関ホールに、「柳水園」と書かれた立派な額が掲げられています。

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 「柳水園」は、作家の尾崎士郎が命名し、「柳都新潟と阿賀野川の水と柳のイメージから名づけられたもの」だそうです。そして、この額は尾崎士郎の書によるものです。なかなか由緒ある温泉旅館なんですね。

 受付らしき場所には誰もいませんでしたが、声をかけますと奥から女将さんが出てこられましたので、500円を払って浴室へと向かいました。

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 狭い廊下を直進しますと、洗面所があり、ステンレスの洗面器が多数立てかけられていて、レトロ感を演出しています。

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 その先に男女浴室があります。

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 手前が男湯、奥が女湯でしたが、観葉植物の葉に「男湯」という紙が貼られているのがご愛嬌です。

 戸を開けて中に入り、3段降りたところが脱衣場です。

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 正面のガラス戸を開けると浴室です。脱衣場には脱衣棚に脱衣籠、そして洗面台がひとつあり、ドライヤーがあります。ほかに体重計と踏み竹が置いてあり、手前に何故か場違いに感じるような革張りのソファがあります。

 浴室内には常連さんの先客が3人おられ、世間話の花が咲いていました。写真撮影はできませんでしたので、咲花温泉旅館協同組合のサイトにあった写真をお借りします。

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 浴室内は3~4人で満員になるような小さな浴槽がひとつあるのみです。浴槽には微淡緑色透明の湯が満ちており、隅の注湯口から注がれた源泉は浴槽縁から大量に掛け流されており、硫化水素臭が心地よく感じられます。

 常連さんの社交場となった浴室に入りますと、よそ者が来たなというような視線を感じてしまいますが、ここは遠慮せずに、“おじゃまします”と挨拶して浴槽に入り込みました。

 湯温は、私の体感で43~44℃程度の適温です。同じ咲花温泉でも、他の旅館は“柔らかな硫黄泉”という感じですが、ここの湯は刺激的に感じます。
 それは、単に温度が高いということだけでなく、源泉の鮮度の良さによるものと考えます。浴槽の大きさに比して、注湯量は十分にあり、劣化していない生の源泉の掛け流しを楽しめます。

 洗い場は2ヶ所のみで、ボディソープ、リンスインシャンプーがありますが、常連さんはマイソープ、マイシャンプーを持参されています。

 さて、源泉名は咲花温泉6号。泉質は含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉。源泉温度48.3℃。主な成分(イオン濃度:mg/kg、平成26年10月22日分析)は、Li 0.2、Na 233.1、K 7.0、NH4 0.8、Mg 0.8、Ca 75.7、Sr 1.2、Ba 0.0、Al 0.0、Mn 0.0、Fe 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F 1.I 0.4、NO2 0.0、NO3 0.0、HS 20.5、HSO4 0.0、S2O3 7.6、SO4 281.7、HPO4 0.2、HCO3 45.2、CO3 0.0、メタケイ酸 55.5、メタホウ酸 3.4、遊離CO2 2.5、遊離H2S 3.7 など、ガス性除く成分総計は1022mg/kgです。

 源泉は加水なし、加温なし、循環・ろ過なし、入浴剤なし、塩素消毒なし、毎日換水しているとのことであり、生の源泉をダイレクトに楽しめます。


 咲花温泉の源泉は、以前の分析ではガス性除く成分総計が1000mg/kg以下のため、泉質は単純硫黄泉でしたが、平成16年の分析から1000mg/kgの基準をわずかに超えたため、塩類泉に分類されるようになりました。
 硫化水素イオンが20.5mg/kg、チオ硫酸イオンが7.6mg/kg、遊離硫化水素が3.7mg/kgと硫黄分は多く、月岡温泉や多宝温泉には遠く及ばないものの、県内ではそれに次ぐ硫黄泉といえましょう。

 源泉は咲花温泉の旅館組合の各旅館と共通ですが、鮮度は随一です。鮮度の高い源泉を味わいたいなら、小さな旅館の小さな浴槽に限るというのが私の持論ですが、それを見事に実証しています。

 浴室は狭く、決してきれいとは言えませんが、湯の鮮度の高さを前にすれば、そんなことは些細なことでしかありません。

 湯にじっくりと浸かり、常連さんが帰るのを待ち、独り占めの入浴を楽しもうと頑張ってみたのですが、帰っても入れ違いに次の客が来られ、独占入浴はできませんでした。
 ゆでだこ状態も限界となり、あきらめて退館することにしました。吹き出る汗も引かぬまま、タオルで汗を拭き拭き家路に着きました。

 咲花温泉の中で、単純に鮮度の高い源泉を楽しむならここがベストでしょう。ただし、昭和レトロの空気が漂う館内は、決してきれいとは言い難く、設備的にも劣ります。
 このブログをお読みくださるような温泉好きの方々や、古さ・汚さも魅力に感じる風流人には自信を持ってお勧めしますが、それなりの設備とサービスを期待する一般人には向きません。家族連れで来るところでもありません。川沿いにある旅館と違って、阿賀野川を見ながらゆったりと入浴ということもできません。
 しかし、これらの難点をも魅力に感じさせる魔力を持っているのが「柳水園」です。

 常連さんで常に賑わい、地域の人に愛されていることがわかります。これからもこのまま鮮度の高い源泉を楽しませ続けていただきたいと思います。

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